デジタル改革関連法が成立!賃貸契約での押印撤廃、書面電子化へ
デジタル社会実現に向けた改革が加速する中、2021年5月12日、「デジタル改革関連法」が国会で成立しました。いわゆる賃貸借契約上での押印撤廃・書面の電子化がいよいよ現実化していきます。今回は、これら事情について整理します。
現行の賃貸借契約書における電子契約は?
下記の通り、宅地建物取引業法においては、賃貸住宅での電子契約は、更新契約や、駐車場契約を除き、できない状態になっています。
- 賃貸借契約書
いわゆる37条書面とも呼ばれる賃貸借契約書は、宅地建物取引業法第37条の規定に基づき書面での発行が義務づけられているため、基本的には電子化契約はできません。駐車場の賃貸借契約などは上記法律の規定に含まれておらず電子化契約は可能です。 - 重要事項説明書
重要事項説明書は、宅地建物取引業法第35条にて書面の交付が義務付けられているので電子化できません。 - 契約更新時の合意書
こちらは、法律等で制限はされていないため、電子化契約が可能です。 - 定期借家契約
こちらは、契約時の書面化が義務づけられているため、電子化契約はできません。
デジタル改革関連法により変わる電子契約実現へ
今回の、デジタル改革関連法が成立したことにより、今後は宅地建物取引業法を含む48の法律を対象に、「押印撤廃・書面の電子化」の法改正が施行されます。不動産業においては、賃貸・売買契約における重要事項説明の非対面化および、書類(34条、35条、37条書面)手続きの電子化が可能になり、いよいよ賃貸借契約においても完全電子化が実現します。
なお、これまでも押印・書面交付の義務が無かった、駐車場契約や更新契約に関しては、既に契約電子化を実現している企業もあり、法改正をきっかけに電子化が急速に進んでいくことが期待されます。
既に賃貸仲介においては、オンラインでの反響、接客、案内まで進んできており、いよいよ契約が電子上で行われれば、完全にオンライン上での賃貸仲介業務が可能になります。今回の施工時期に関しては、未定ですが、1年未満であると予測されています。オーナーの皆様にとっては、パートナーである不動産会社とともに、より入居を積極的に進められる機会になると思います。
フロンティアホーム 代表取締役 中川潤