事業用収益物件のABC(金融機関の今)
今回は金融機関について幾つかお伝えできればと思います。
今から20年程まえでしょうか、高所得者のサラリーマン中心に収益物件の購入がブームになりました。メガバンクを筆頭に地銀・信用金庫など、フルファイナンス或いはオーバーローンで融資を付けた時期があり、例えばご年収1000万円で2億円の物件をフルローンで購入するといったケースも多数見受けられました。一部の地銀さんなどは物件評価を大きく超え、しかも高い金利で貸付したケースもあり、後々これらで融資を受けた方の一部のオーナー様は、高い金利からの借り換えをしようにも他銀行からの借り換えも出来ないといった事案もありました。
また世間を騒がせた「かぼちゃの馬車事件」が勃発し、問題のある業者だけでなく一部の金融機関も業務停止が出され、社会的にも大きな問題になりました。そしてそれ以降「収益不動産の購入融資」は大きく様変わりしました。現在、特にメガバンクは総じて収益物件への融資はネガティブですが、一部の地方銀行と信用金庫は融資金額及びその融資期間の延長など、柔軟に審査対応頂けるとところもまだまだ存在します。
幾つかのポイントを列挙しますと、
- クレジットの蓄積(信用)は大事である
信用金庫を中心に、預金や定期の依頼があったら積極的に協力すると信用が積み重なり後々の融資に大きなアシストとなります。また約束事や経営者の考えなど、割とヒュンな部分も重要視されます。さらにお客様のポートフォリオも非常に重要であり、預金や株式、不動産などあれば金融機関に対して非常に良いアピールになります。
- 自己資金を投入する
自己資金を投入せずにフルファイナンスでレバレッジを効かせた投資というのは理想的でもあるのですが既に物件の利回り感も20年前のそれとは異なっております。健康的なCF(キャッシュフロー)を得る為にも必要とされる自己資金は必要であり、それらは金融機関への信用に繋がります。適切な自己資金はむしろ考えていきましょう。
- 「買うこと」が重要ではなく「買った後」がとても重要
前述の20年前では所謂「買うこと」に満足している方々が多かった様に思えます。当時のこんなエピソードがあります。お客様からの問い合わせ物件が、物件の積算評価は出るのですが、極めて狭い1Rで築古のRCマンションについて購入相談がありました。
当方としては「背景としては少子高齢化が続き、尚且つ新築物件が供給されるので少しでも広い方が良いと思いますよ。これは買わない方が良いです」とアドバイス致しました。しかし結果は他社で購入してしまい、その後空きが物凄く出てしまい家賃も大きく下げざるを得ない事態となってしまった様子です。これでは正に本末転倒です。
今回のトピックスが金融機関テーマではありますが、最近は金融機関自ら不動産物件情報の提供や買いませんかアプローチしている銀行も多く見受けられ、この点はき違えているケースが多いです。
「管理を行っている不動産会社からの収益不動産情報の提供」=要は現場を知っている、現場からのフィードバックがある会社であり、我が事として考え適切なアドバイスできるかが大きなポイントだと考えます。
何かお困りごとや相談などありましたら、弊社スタッフ或いは私直接でも結構でございます。何なりとお気軽にご相談下さいませ。
上記以外にも「メイン銀行だけでなく、複数の金融機関とのネットワークを構築していく」事や、その他色々とお伝えしたい事もあるのですが、紙面の関係で省略します。何れにしても金融機関との付き合いはビジネスを進めて行く上で非常に重要なポイントになります。
次回は何を買うべきなのか、不動産ポートフォリオの構築についてお話をしたいと思います。
フロンティアホーム 代表取締役 中川潤